最初の弁護士

最初に依頼した弁護士事務所は、今思えば、いわゆる”コンビニ型”と言われる形態だったようで、わかりやすく表現すると、マスメディアのCMでよく流れる、過払い金取り戻し弁護士の労務版モデルのような感じだったと思います。

弁護士選びについては、わたしもプライベートで弁護士のお世話になったことは人生で初めてだったので(仕事では企業弁護士はよく使いました)、弁護士をどのように選んでいいか全くわかりませんでした。

そのため、探し方と言えばインターネットで”パワハラ”、”弁護士”などと入力して検索して、上位にきた中から見つけたというだけです。(時間がなかったこともあり)

ただ、それは典型的な”情報弱者”のとる方法であり、そのような人をターゲットにしているビジネスモデルにまんまと乗ったということではないかと思います。
なぜなら、インターネットで上位にヒットするということは、SEO対策などをしっかり行っている事務所ということですから、性格としてより営利性が強いということになります。
もちろん、そういう事務所はHPも洗練された感じに作ってあります。(弁護士事務所に限らず顔出し系は要注意です!)
要は広告にお金を掛けている≒効率よく収益を上げたいという性格が強くなります。
インターネットでより多く集客し、より効率的に収益化することが求められます。
コンビニ型と称しているのは、このような性格をもった事務所のことで過払い金回収ビジネスで言えば、過払い金の請求権を持っている客を見つける→サラ金会社に問い合わせる→過払い金があるか確認する→あれば過払い金に利息を載せて請求→返金と同時に顧客から手数料を頂戴するというビジネスです。
過払い金に関しては、最高裁で判決がでていることなので、サラ金会社が返し渋るようなこともないだろうし、一連の事務作業としてと処理するだけでお金になるビジネスです。

一方、これを労務問題に当てはめると、昨今では残業代未払いとかパワハラ(パワハラ防止法もできたことですし)も昔に比べれば、明確に”悪”として認知される世の中になったことと、企業側の責任も問われやすくなった(法の整備と判例の増加によると思います)ことにより、残業代未払いとかパワハラで企業側に要求すれば、比較的簡単に支払いに応じることが増えたのではないかと思います。

わたしの考察では、従業員(退職者が多い)が弁護士を使って請求してきた場合、企業側も弁護士を立てざるを得ません。しかし、中小企業では社内弁護士がいるわけでもなく、弁護士を雇うことになるのですが、結局、従業員の給与水準が低いと、従業員の請求額<弁護士費用 のほうが大きくなることが起きうるわけです。さらに裁判で長期化すればさらに弁護士費用はさらにかかるわけで、最終的に裁判に負けたとなると企業名が世に晒され”ブラック企業”認定を受けるという、さらに企業にとって好ましくない状況になることも考えられます。

懐事情に余裕がなく賢明な経営者であれば損得で考えればとっちを選択すべきかは明らかです。

なので、”コンビニ型”弁護士事務所がでてきて、これらをちょっと説明してすればポーンと支払いに応じる企業ってけっこう多いのではないかと思います。

実際、最初の弁護士先生は、最初から裁判のデメリットばかりひたすら主張してきましたし、苦労して記録・整理したこちらの証拠には全く興味を示さず、一度も目を通すこともありませんでした。さらには、会社から退職勧奨されて退職金の提示があってからは、闘う姿勢がゼロになったことはもちろん、もうできることは退職金の額の増額交渉くらいしかないとか、しまいには外資だったら普通ははすぐ辞めると思うなどの嫌味を言うまでに至りました。

そのくせ、こちらが訴訟をするつもりないなら契約を解除したいと言うと、闘うつもりはあるだとか弁護士の本文は訴訟だとかあれやこれや言ってなんとか契約を解除させないように、その場だけは言ってきます。
でも結局、一切ファイティングポーズを見せません。
特にわたしの場合は、会社側の(旧)弁護士と握りがあったようで、相手の弁護士を刺激しないことにはやたら気を使っている感じでした。実際、わたしが作成した反論文も、相手の弁護士の主張の矛盾を指摘する内容を記載したら、その矛盾点を追及しないように書き換えて送っていました。(要するにこっちが譲歩する内容にする)

あと、これは後で関心したのですが、弁護士も単に法律に長けているだけでなくて、やっぱり人の心理を操るテクニックも武器なのだなと思いました。
これは、世間一般でよく悪徳弁護士だとか、弁護士なんてクライアント利益第一なんで綺麗ごとで自らの利益優先だとか言われるのはこのためだと思います。

ということで、弁護士がこれを言ったら要注意!!まとめを記載します。
1.裁判のデメリットばかり言う弁護士―弁護士からすると裁判で勝ったとしても取れる賠償金は和解金などから比べると本当に少ないです。なので、ビジネスという観点で言えば、できるだけ和解してもらったほうが弁護士としては助かることになります。
具体的な例で言うと、みずほ銀行社員の不法長期自宅待機命令(4年)→のちに解雇に関する判決は、たったの330万円の慰謝料しか取れず、さらに解雇は撤回されないという判決になりました。
この裁判を詳しく調べると、裁判途中で何度も裁判所から和解提案があり、その額2000万円だったそうです。これを見れば確かに弁護士のいうことには一理あります。https://www.zaiten.co.jp/article/2023/09/post-807.html

2.相手の弁護士が、初期段階でこちらの弁護士と会いたいとリクエストしてくる―本当に多忙な弁護士の方々です。何か狙いでもない限りその貴重な時間を挨拶程度やメールで済むことなどに費やすことはあり得ません。たぶん多くの場合は、弁護士同士での”握り”(もっと悪く言えば裏取引の持ち掛けのため)を得ることを目的としていると推察しています。わたしの場合も、後々それを行った痕跡が少しづつ染み出してきた感じです。

 もちろんですが、双方弁護士とも互いにそれを明言するわけではありません。弁護士は双方代理や利益相反行為は禁止されているわけですから、何かトラブったときに相手側弁護士からリークされると非常にまずいことになります。あくまで暗黙の了解で共同歩調で行くわけです。

 具体的には、先に書いたように、闘う姿勢が見えなくなった、やたら和解を提案してくるなどですが、それ以外にも先方弁護士が実際に取る手法は、こちらのの悪口を吹き込んでクライアントと弁護士間の信頼関係を崩す―これは野川さん骨川さんが仕組んだことなのか、先方弁護士が発案した技なのか知りませんが、実際やられたやり方は、わたしのことで正式な社内調査をしていないのにそれをしたかのように先方弁護士がこちらの弁護士に語るのです。調査の結果、組織のみんながわたしと働きたくないと言っているとか、わたしからパワハラ被害を受けた人がいるとかです。特にこちらの弁護士が取り込まれた発言はわたしの直属の部下がわたしと働きたくないと言っているという話でした。これを信じてしまうといくら自らのクライアントと言えども、道義的にはこいつは会社に戻さないほうがいい人物だという私情がどうしても入ってしまいます。それなら、和解金もらって退職してもらい、そして弁護士自身も懐が潤うという”三方よし”という最適解が成立してしまうことになり、どうしてもその流れに傾いてしまいます。
 わたしがなぜそれに気づいたかというと、私の部下はもともと以前の職場の部下をスカウトしてきたのですが、そのことをたまたま反論メールに書いたら、こちらの弁護士があれっと気が付いてゲロってきて発覚しました。わたしのこと嫌いだったらそもそも誘われても同じ会社に入らないだろって話です。わたしのようなケースでない限りは、裏でそんなことをやられているのを知ることはなかなか難しいと思います。部下が自分の上司を実は嫌っているなんて話はいくらでもあるし、そして上司がそのことの自覚がないのがほとんどのパターンですから。

3.担当弁護士が途中で増える―これがもっとも巧妙で気付きにくく、かつ効果がある賢いやり方だと思います。これを知ったときは敵(味方だけど)ながら思わず感心してしまいました。
 まず、途中でこちらがリクエストした訳でもないのに担当弁護士を増やしてくれます。事務所側はその時にあなたのために人を増やして体制を強化することにしましたなんて言ってくるわけですから、こちら側としては自分の案件に注力してくれているんだと思って信頼感が↗するわけです。
 またこれは、クライアントが離れそうな時にも効果を発揮することになりますーわたしの場合はあまりにも闘う姿勢が見えなくて事務所を変えようとした時に、「われわれも弁護士一人分の報酬で2人も付けていて〇〇さんの案件に注力しているんです。真剣にやっていない訳ないじゃないですか!」と言われて思わず納得させられちゃいました。
 
 さらに、会社側にもっと証拠なりぶつけて押し返したいとか、訴訟なりの強気な行動にでたいと要望すると決まって、「それはやめたほうがいいですよ、〇〇弁護士とも話し合いましたが同意見です。」という返事が返ってきました。この追加(サブ)弁護士は、打ち合わせのときは、いつもただいるだけで、最後に「〇〇先生何か意見ありますか?」の問いかけに対して「ありません」という言葉以外聞いたことがありませんでした。

 ただ、弁護士が増えることは一般的にはいいことで、(良心的な弁護士事務所であれば)本当に体制強化のためにやってくれることだと思います。

 わたしの場合は、和解金(退職金)というニンジンがぶら下がった状態だったので、とにかく訴訟などに発展させずにこの膠着状態を維持さえすればそのうち諦めて退職するであろうから、いつかそのニンジンは落ちてくるという狙いがあっての事だったと思います。
 さらに、”コンビニ型”事務所だったことも大きかったと思います。外資系に勤めるクライアントは初めだと言っていましたが、確かに何かと金銭感覚に大きな隔たりを感じました。恐らくですが、普段依頼を受ける仕事の成功報酬からすると、このまま黙って辞めてくれたら少しオイシイ仕事だと思われたのかもしれません。

 なお、いま労務弁護士探しに苦労されている方がいましたら、直接メッセージをいただければ、この弁護士を含め私が実際に接した弁護士事務所の実名と論評をお送りします。
(今どき普通の営利企業であれば口コミを書き込んだりいくらでも見たりできますが、弁護士事務所だけあって同じことをやると、名誉毀損だの営業妨害で訴えられるのが恐ろしくて誰もできないらしく、この業界だけは、未だにブラックボックスのままだと感じます。)


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